出エジプト記4-6 ; マタイ14:22-36

出エジプト記

第4章

4:1モーセは言った、「しかし、彼らはわたしを信ぜず、またわたしの声に聞き従わないで言うでしょう、『主はあなたに現れなかった』と」。4:2主は彼に言われた、「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った、「つえです」。4:3また言われた、「それを地に投げなさい」。彼がそれを地に投げると、へびになったので、モーセはその前から身を避けた。4:4主はモーセに言われた、「あなたの手を伸ばして、その尾を取りなさい。――そこで手を伸ばしてそれを取ると、手のなかでつえとなった。――4:5これは、彼らの先祖たちの神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、あなたに現れたのを、彼らに信じさせるためである」。4:6主はまた彼に言われた、「あなたの手をふところに入れなさい」。彼が手をふところに入れ、それを出すと、手は、らい病にかかって、雪のように白くなっていた。4:7主は言われた、「手をふところにもどしなさい」。彼は手をふところにもどし、それをふところから出して見ると、回復して、もとの肉のようになっていた。4:8主は言われた、「彼らがもしあなたを信ぜず、また初めのしるしを認めないならば、後のしるしは信じるであろう。4:9彼らがもしこの二つのしるしをも信ぜず、あなたの声に聞き従わないならば、あなたはナイル川の水を取って、かわいた地に注ぎなさい。あなたがナイル川から取った水は、かわいた地で血となるであろう」。
4:10モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。4:11主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。おし、耳しい、目あき、目しいにだれがするのか。主なるわたしではないか。4:12それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。4:13モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。4:14そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。4:15あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、4:16彼はあなたに代って民に語るであろう。彼はあなたの口となり、あなたは彼のために、神に代るであろう。4:17あなたはそのつえを手に執り、それをもって、しるしを行いなさい」。
4:18モーセは妻の父エテロのところに帰って彼に言った、「どうかわたしを、エジプトにいる身うちの者のところに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているか、どうかを見させてください」。エテロはモーセに言った、「安んじて行きなさい」。4:19主はミデヤンでモーセに言われた、「エジプトに帰って行きなさい。あなたの命を求めた人々はみな死んだ」。4:20そこでモーセは妻と子供たちをとり、ろばに乗せて、エジプトの地に帰った。モーセは手に神のつえを執った。
4:21主はモーセに言われた、「あなたがエジプトに帰ったとき、わたしがあなたの手に授けた不思議を、みなパロの前で行いなさい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、彼は民を去らせないであろう。4:22あなたはパロに言いなさい、『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。4:23わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。
4:24さてモーセが途中で宿っている時、主は彼に会って彼を殺そうとされた。4:25その時チッポラは火打ち石の小刀を取って、その男の子の前の皮を切り、それをモーセの足につけて言った、「あなたはまことに、わたしにとって血の花婿です」。4:26そこで、主はモーセをゆるされた。この時「血の花婿です」とチッポラが言ったのは割礼のゆえである。
4:27主はアロンに言われた、「荒野に行ってモーセに会いなさい」。彼は行って神の山でモーセに会い、これに口づけした。4:28モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。4:29そこでモーセとアロンは行ってイスラエルの人々の長老たちをみな集めた。4:30そしてアロンは主がモーセに語られた言葉を、ことごとく告げた。また彼は民の前でしるしを行ったので、4:31民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。

第5章

5:1その後、モーセとアロンは行ってパロに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしの民を去らせ、荒野で、わたしのために祭をさせなさい』と」。5:2パロは言った、「主とはいったい何者か。わたしがその声に聞き従ってイスラエルを去らせなければならないのか。わたしは主を知らない。またイスラエルを去らせはしない」。5:3彼らは言った、「ヘブルびとの神がわたしたちに現れました。どうか、わたしたちを三日の道のりほど荒野に行かせ、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。そうしなければ主は疫病か、つるぎをもって、わたしたちを悩まされるからです」。5:4エジプトの王は彼らに言った、「モーセとアロンよ、あなたがたは、なぜ民に働きをやめさせようとするのか。自分の労役につくがよい」。5:5パロはまた言った、「見よ、今や土民の数は多い。しかも、あなたがたは彼らに労役を休ませようとするのか」。5:6その日、パロは民を追い使う者と、民のかしらたちに命じて言った、5:7「あなたがたは、れんがを作るためのわらを、もはや、今までのように、この民に与えてはならない。彼らに自分で行って、わらを集めさせなさい。5:8また前に作っていた、れんがの数どおりに彼らに作らせ、それを減らしてはならない。彼らはなまけ者だ。それだから、彼らは叫んで、『行ってわたしたちの神に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。5:9この人々の労役を重くして、働かせ、偽りの言葉に心を寄せさせぬようにしなさい」。
5:10そこで民を追い使う者たちと、民のかしらたちは出て行って、民に言った、「パロはこう仰せられる、『あなたがたに、わらは与えない。5:11自分で行って、見つかる所から、わらを取って来るがよい。しかし働きは少しも減らしてはならない』と」。5:12そこで民はエジプトの全地に散って、わらのかわりに、刈り株を集めた。5:13追い使う者たちは、彼らをせき立てて言った、「わらがあった時と同じように、あなたがたの働きの、日ごとの分を仕上げなければならない」。5:14パロの追い使う者たちがイスラエルの人々の上に立てたかしらたちは、打たれて、「なぜ、あなたがたは、れんが作りの仕事を、きょうも、前のように仕上げないのか」と言われた。
5:15そこで、イスラエルの人々のかしらたちはパロのところに行き、叫んで言った、「あなたはなぜ、しもべどもにこんなことをなさるのですか。5:16しもべどもは、わらを与えられず、しかも彼らはわたしたちに、『れんがは作れ』と言うのです。その上、しもべどもは打たれています。罪はあなたの民にあるのです」。5:17パロは言った、「あなたがたは、なまけ者だ、なまけ者だ。それだから、『行って、主に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。5:18さあ、行って働きなさい。わらは与えないが、なおあなたがたは定めた数のれんがを納めなければならない」。5:19イスラエルの人々のかしらたちは、「れんがの日ごとの分を減らしてはならない」と言われたので、悪い事態になったことを知った。5:20彼らがパロを離れて出てきた時、彼らに会おうとして立っていたモーセとアロンに会ったので、5:21彼らに言った、「主があなたがたをごらんになって、さばかれますように。あなたがたは、わたしたちをパロとその家来たちにきらわせ、つるぎを彼らの手に渡して、殺させようとしておられるのです」。
5:22モーセは主のもとに帰って言った、「主よ、あなたは、なぜこの民をひどい目にあわされるのですか。なんのためにわたしをつかわされたのですか。5:23わたしがパロのもとに行って、あなたの名によって語ってからこのかた、彼はこの民をひどい目にあわせるばかりです。また、あなたは、すこしもあなたの民を救おうとなさいません」。

第6章

6:1主はモーセに言われた、「今、あなたは、わたしがパロに何をしようとしているかを見るであろう。すなわちパロは強い手にしいられて、彼らを去らせるであろう。否、彼は強い手にしいられて、彼らを国から追い出すであろう」。
6:2神はモーセに言われた、「わたしは主である。6:3わたしはアブラハム、イサク、ヤコブには全能の神として現れたが、主という名では、自分を彼らに知らせなかった。6:4わたしはまたカナンの地、すなわち彼らが寄留したその寄留の地を、彼らに与えるという契約を彼らと立てた。6:5わたしはまた、エジプトびとが奴隷としているイスラエルの人々のうめきを聞いて、わたしの契約を思い出した。6:6それゆえ、イスラエルの人々に言いなさい、『わたしは主である。わたしはあなたがたをエジプトびとの労役の下から導き出し、奴隷の務から救い、また伸べた腕と大いなるさばきをもって、あなたがたをあがなうであろう。6:7わたしはあなたがたを取ってわたしの民とし、わたしはあなたがたの神となる。わたしがエジプトびとの労役の下からあなたがたを導き出すあなたがたの神、主であることを、あなたがたは知るであろう。6:8わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに与えると手を挙げて誓ったその地にあなたがたをはいらせ、それを所有として、与えるであろう。わたしは主である』と」。6:9モーセはこのようにイスラエルの人々に語ったが、彼らは心の痛みと、きびしい奴隷の務のゆえに、モーセに聞き従わなかった。
6:10さて主はモーセに言われた、6:11「エジプトの王パロのところに行って、彼がイスラエルの人々をその国から去らせるように話しなさい」。6:12モーセは主にむかって言った、「イスラエルの人々でさえ、わたしの言うことを聞かなかったのに、どうして、くちびるに割礼のないわたしの言うことを、パロが聞き入れましょうか」。6:13しかし、主はモーセとアロンに語って、イスラエルの人々と、エジプトの王パロのもとに行かせ、イスラエルの人々をエジプトの地から導き出せと命じられた。
6:14彼らの先祖の家の首長たちは次のとおりである。すなわちイスラエルの長子ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミで、これらはルベンの一族である。6:15シメオンの子らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル、およびカナンの女から生れたシャウルで、これらはシメオンの一族である。6:16レビの子らの名は、その世代に従えば、ゲルション、コハテ、メラリで、レビの一生は百三十七年であった。6:17ゲルションの子らの一族はリブニとシメイである。6:18コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルで、コハテの一生は百三十三年であった。6:19メラリの子らはマヘリとムシである。これらはその世代によるレビの一族である。6:20アムラムは父の妹ヨケベデを妻としたが、彼女はアロンとモーセを彼に産んだ。アムラムの一生は百三十七年であった。6:21イヅハルの子らはコラ、ネペグ、ジクリである。6:22ウジエルの子らはミサエル、エルザパン、シテリである。6:23アロンはナションの姉妹、アミナダブの娘エリセバを妻とした。エリセバは彼にナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを産んだ。6:24コラの子らはアッシル、エルカナ、アビアサフで、これらはコラびとの一族である。6:25アロンの子エレアザルはプテエルの娘のひとりを妻とした。彼女はピネハスを彼に産んだ。これらは、その一族によるレビびとの先祖の家の首長たちである。
6:26主が、「イスラエルの人々をその軍団に従って、エジプトの地から導き出しなさい」と言われたのは、このアロンとモーセである。6:27彼らはイスラエルの人々をエジプトから導き出すことについて、エジプトの王パロに語ったもので、すなわちこのモーセとアロンである。
6:28主がエジプトの地でモーセに語られた日に、6:29主はモーセに言われた、「わたしは主である。わたしがあなたに語ることは、みなエジプトの王パロに語りなさい」。6:30しかしモーセは主にむかって言った、「ごらんのとおり、わたしは、くちびるに割礼のない者です。パロがどうしてわたしの言うことを聞きいれましょうか」。


マタイ

第14章

14:22それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。14:23そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。14:24ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。14:25イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。14:26弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。14:27しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。14:28するとペテロが答えて言った、「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」。14:29イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。14:30しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。14:31イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」。14:32ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。14:33舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。
14:34それから、彼らは海を渡ってゲネサレの地に着いた。14:35するとその土地の人々はイエスと知って、その附近全体に人をつかわし、イエスのところに病人をみな連れてこさせた。14:36そして彼らにイエスの上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいとお願いした。そしてさわった者は皆いやされた。


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